空き家の問題を3つの立場でそれぞれ説明します。

まず、空き家の所有者や相続する人には①負動産(マイナイスの不動産)、②リスクがあります。次に、住まいを求めている人や利用したい人には③機会損失の問題があります。そして、空き家がある地域では④安全・安心・景観などに問題があります。

空き家所有者や相続人にとっては、空き家を使用しないのにコストがかさむことが問題です。固定資産税などの税金を払い続ける必要があるほか、台風などのあとに周りからの苦情を受けて修繕したり、除草などの維持管理費もかかります。

放っておくと、子や孫にも問題を引き継ぐとこととなり、大きなストレスとなります。

リスクについては、例えば、空き家が火災となり隣の家に延焼した場合の損害賠償額は、国の試算によれば6300万円となっています。同様に倒壊の場合、雑草繁茂害虫、瓦や外壁の落下で通行人が死亡した場合など。これらの責任は「無過失責任」といって、空き家の所有者が事情を問わず責任を負うことになります。

家賃や価格が安い住宅を探したり、地域の交流サロンなどに使いたい人がいても、空き家の所有者がどうしようかと悩んでいるうちにタイミングを逃しマッチングできない。すなわち、機会損失が発生する場合があります。

空き家がある地域にとっても、管理がきちんとされていない空き家があると、ゴミ投棄などの衛生面の問題、不法侵入による放火、景観阻害などを促すおそれがあります。そうなると、住まいの資産価値が減少し、地域の地価が下落し、ひいては、まちのイメージダウンを招いてしまいます。